計計 6CIP ANNUAL REPORT 2024図 3. リスク判定別の基盤指標スコアの違い表 1. MoCA と音声指標の結果から得られた混同行列図 4. 認知機能に関するデータプラットフォーム(認知症コホート)確率イメージMCIMCI28健常3159感度=0.61、特異度=0.34、正解率0.47MoCAと音声指標MoCA音声指標健常4618471693342)詳細未病指標の実装に向けた実証① 生活習慣領域における詳細未病指標の検証 健康診断情報に基づくメタボリックシンドロームおよび糖尿病の潜在的リスクを評価する2つの新規指標の活用可能性を検証しました。前者は国保データベースの縦断データに基づき、既存の基準には該当しないリスク保持者の判別が可能です。後者は既存のリスク因子(肥満など)では説明できない、個々の体質によるリスクの大きさを評価できます。 20?80代までの男女計147名の健康診断情報を用いて、各3段階でリスクを評価し、基盤未病指標との相関を検証しました。結果、直接的な相関は高くないものの、リスク別得点分布からは基盤指標のスコアを用いた詳細指標への誘導は一定の有効性があり、基盤指標が対象としない既往歴や服薬歴を考慮することでより有効となることが示唆されました。② 認知機能領域における詳細未病指標の検証 標準的な認知機能検査は10 個以上のタスク、10分以上の時間、医療従事者による測定が必要であり、モニタリングとして実施するには課題があります。そこで、音声情報から認知機能を推定する技術を開発し、未病コホートの実施フィールドにおいて音声データ収集を行い、手法の精度を検証しました。 20?80代までの男女計93名で、100から7を繰り返し引くタスクの実行時の音声情報から算出したスコアと、標準的 な 認 知 機 能 検 査 で あ る M M S E 、 M o C A お よ びMini-Cogとの軽度認知機能障害(以下、MCI)カットオフ基準に基づく感度?特異度を評価しました。また、解析で得られた音声特徴量を用いたモデルについて交差検証を行ったところ、1 0 分 割 平 均で の 感 度 は0 . 7 7 、特 異 度 は0.82、正解率は0.80であり、一定の実装可能性が示されました。3)認知症の評価?早期介入への活用 認知症およびMCIに着目し、予防介入と評価の基盤となるデータプラットフォーム構築の方向性を探索するため、以下の項目を実施しました。①未病コホートの既存フィールドフォローアップ調査における認知機能データの測定、②未病コホートの新規フィールド開拓と認知機能データの測定、③高齢者施設利用者を中長期にモニタリング可能な体制の検討、④データプラットフォーム構築を見据えた中長期モニタリング体制の検討。 研究協力者307名に対し、複数の測定指標を用いて認知機能のベースラインデータを収集しました。検査間の相関は先行研究を支持するものでした。一般住民を概ね代表したサンプルが得られ、中長期モニタリングに向けた基盤となるデータが収集できました。簡易に実施可能な生活習慣等の調査票作成のため、指標選択に関する検討、調査票ウェブ版の改定、医療機関や介護施設との連携の対話を開始し、継続的かつ持続的なデータ収集の準備を開始しました。 2025年度は、データプラットフォームの方向性検討をさらに進めつつ、基盤整備のための縦断評価、認知機能測定の新規シーズの活用可能性の検討、保健事業に汎用可能な評価系の探索、運動環境整備が認知機能に与える影響評価等を実施する予定です。4)国保事業への活用(国保ヘルスアップ事業) 市町村の実施する国民健康保険被保険者の健康の保持増進事業の支援を目的に、都道府県が市町村の健康課題や保健事業の実施状況を把握し、必要な助言や支援を行う「都道府県国保ヘルスアップ事業」を神奈川県より受託し、小田原市、箱根市を対象に未病改善および未病指
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