CIP ANNUAL REPORT 2024図1.設置された測定スポット5環 境の設 置が自己効力感や健 康行 動 に与える影響 を 評 価し 、活用可能 性を検 証しました。 70歳以上の男女計39名が参加し、スポット利用群(介入群)と対照群にランダム化され 組 み入れられました。期間平均で10名(50%)が目標である14日間に1回以上の測定頻度を満たしました。自己効力感、自己管理能力、自覚的健康度等の評価尺度における介入前後の変化は、いずれも群間で差を認めませんでしたが、SNSを通じた利用勧奨や利用ハードルを下げる環境整備など改善に資する課題を抽出することができました。② スマートフォンを使用した簡便な歩行速度測定方法の開発 基 盤 未病指 標の 課 題 であった10 m歩行 速 度の距 離 確 保 の困 難さ へ の 対 処 として 、スマートフォンの加 速 度 計 情報を用いてより短距 離で 歩行 速 度を測 定 する手 法を開発し、手法の精 度 を 検 証しました。 20?80代までの 男 女 計 1 3 3 名で、通常のストップウォッチ式およびシート式足圧接地足跡計測装置で測定した歩行速度との相関を評価しました。iPhone加速度センサーからの推定速度は実測値と高い相関を示し、内蔵の加速度センサー情報での測定の実現可能性が示されました。Android端末はばらつきが大きく、オプションとしての活用が示唆されました。図2. リファレンス歩速と推定歩速との関係簡便に測定できる「未病指標」をリリースしました。本プロジェクトは、神奈川県との協働のもと、県民への指標の普及と指標を活用した行動変容を目指して、未病指標の社会実装へ向けた実証を行う目的で実施されています。 本プロジェクトでは、2020年?2024年の5年間で、大規模な実測データに基づく未病指標の精緻化、未来予測機能の実装、日々の健康状態の評価や健康介入効果測定への活用可能性の検証を行ってきました。2024年度は基盤未病指標の活用可能性をさらに広げる研究を進めるとともに、先進的な評価手法を用いて未病の状態を深掘りする詳細未病指標の実装可能性を評価しました。面的アプローチとしての地域モニタリングスポットの設置や、歩行速度測定の簡便化を実証し、活用障壁を低減する可能性を示すとともに、重要な社会課題である認知症発症予防に備えたデータプラットフォームの構築準備を行いました。また、健康診断情報や音声データを用いた3種類の詳細未病指標の活用可能性を示し、未病指標を通じて先進的な評価手法を社会に実装する道筋を示しました。 また、地域との協働の観点からは、地域モニタリングスポットの設置において、横浜市若葉台の地域NPOとの協力体制を築き、地域に根付いた働きかけを行いました。また、自力でのデータ分析に課題を抱える市町村に対し、当該市町村住民の保健事業に関連し、未病指標を含む健康医療データを分析し提供することで、県、市町村、アカデミアの3者が協働した未病改善の仕組みを設けました。さらに、国際共同研究を通じて、未病指標の国際展開に向けた地域的連携を形成しています。態を深く理解し、健康増進に向けた行動変容を達成することのできる未来を目指して、2025年度においても引き続き実証を進めていきます。① 定期的な測定機会の提供による自己効力感や健康行 動への影響の検証 横浜市若葉台地区の神奈川県みらい未病コホート研究(以下、未病コホート)に参加中の高齢者を対象に、血圧、体組成とともに基盤未病指標が測定できるモニタリング概要 2020年3月、神奈川県は未病の状態をスマートフォンで進□状況および成果 2024年度は、基盤指標の環境?コミュニティを通じた多今後に向けて 県民一人一人が未病指標の活用を通じて自身の未病状2024 年度の実施内容詳細1)基盤未病指標の利活用促進未病指標プロジェクト(神奈川県協働事業)
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