CIP ANNUAL REPORT 2024表3 見守り機器導入 : 職員の業務時間(施設単位) 26コミュニケーションロボット?集計結果?コミュニケーションロボットの導入が、介護事業所の利用者に与えた影響した。1. 見守り機器 導入により、訪室回数自体は増加したものの、利用者の不穏な動きの確認を目的とした訪室は減少しました。また、直接介護時間および間接業務時間が短縮し、休憩時間が増加する傾向が観察されました。心理的ストレス指標(SRS-18)は低下した一方で、歩数、移動距離、消費カロリーは微増しました。統計解析の結果、見守り機器の導入は業務効率化に寄与する可能性が示唆されました。 ロボット介護機器を導入することで、施設単位では、直接介護は 3.4 分減少し、間接業務は 4.9 分減少、休憩時間が 21 分増加した。 また、個人単位では、直接介護と間接業務についてはそれぞ れ 4.4 分、9.2 分減少した。休憩時間につ いては統計的には有意ではないが 30 分増加した。2. 移乗支援機器 導入により、介護職員の腰部への負担を軽減する効果が 確認されました。しかしながら、心理的ストレス指標(SRS-18)は上昇する傾向が見られました。統計解析の結果、移乗支援機器は腰痛軽減に効果がある一方で、心理的負荷を増加させる可能性も示唆されました。 研究成果 本研究の解析を通じて、以下の主要な知見が得られま3.インカム(ヘッドセット) 導入により、介護職員の歩数と消費カロリーは減少しましたが、移動距離は増加しました。心理的ストレス指標(SRS-18)については、導入前後で大きな変化は見られませんでした。統計解析の結果、インカムの導入は移動に伴う身体的負荷を軽減する可能性がある一方で、心理的負荷を増加させる可能性も示唆されました。ただし、本項目はデータ量が限られているため、結果の解釈には注意が必要です。 4.コミュニケーションロボット 導入により、利用者の精神的健康状態(WHO-5 で評価)はやや改善する傾向が見られました。統計解析の結果、コミュニケーションロボットは利用者の精神的健康状態を改善する可能性が示唆されましたが、統計的に有意な差は認められませんでした。本項目についても、取得された観測データが少なかったため、結果の解釈には慎重を期す必要があります。実施されたものであり、調査自体も試行的な性格を有しています。今後は、本研究をパイロットスタディと位置づけ、より精緻な研究デ ザイン(例:比較群の設定、介入対象のランダム化など)のもと、大規模かつ多様な施設での実証研究へと発展させることが望まれます。これにより、機 器 導 入 効 果の 一 般 化 可 能 性を高め、介 護 現場の真のニーズに合致したロボット?ICT 機器導入効果の検証が、より頑健なエビデンスに基づいて行われることが期待されます。 今後に向けて 本研究は、4 カ年計画の初年度にあたる 2024 年度に
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