CIP ANNUAL REPORT 2024図 2.ワーキンググループにおける現場の意見抽出の取り組み図 3.就労女性の健康やパフォーマンスに資する3 つのアクションポイント主な研究成果、政策提言、地域連携活動(1)女性健康スコア調査 2024 年度、14 社の協力企業で実施した健康スコア調査では、4,661 名の男女就労者を対象に、更年期症状や月経随伴症状が仕事に与える影響を明らかにしました。調査結果から 88%の女性が月経痛や更年期症状が仕事に影響を与えていると回答し、特に 40 代以上の女性では、34%が月経関連症状と更年期症状の両方が重なり仕事のパフォーマンスに支障を感じていることが示されました。また、女性特有の健康問題に対する同僚や上司の理解と、休暇制度の利用促進が仕事の生産性向上に寄与することが明らかになりました。(2)男性更年期症状の認識向上 男性における更年期症状に対する認識やヘルスリテラシーが、女性に比べて低いという課題が浮き彫りになりました。男性の更年期症状を早期に発見し、産業医に相談することが重要であり、そのための課題解決法に関する提言がなされました。また、男性社員においても、女性特有の健康問題の理解を深める必要があることから、職場での男女間のヘルスコミュニケーションの必要性が示唆されました。現在、さまざまな職域の現場で役立つ男女双方の健康支援ツールを開発中です。(3)神奈川県における就労女性の職場エクササイズ支援 神奈川県で実施した職場エクササイズプログラムでは、319 名の女性従業員が参加し、運動習慣を定着させるための効果を検証しました。プログラムに参加した女性は、腰痛や肩こり、関節痛が有意に改善し、運動習慣も増加しました。特に、プログラム終了後 2 ヶ月間にわたり、運動習慣の維持が見られ、職場での健康支援が女性の身体的健康に寄与することが示されました。これにより、働く女性に対する運動支援の重要性が確認され、今後も継続的な支援とフォローアップが求められます。本研究成果は第 31 回日本行動医学会学術総会?第 26回日本子ども健康科学会学術大会(2025 年 2 月 1 ? 2 日、東京)、第 35 回日本疫学会学術総会(2025 年 2 月 12 ?14 日、高知)にて発表しました。<プロジェクト参考ウェブサイト>1. 2025 年 産学医ウェルネスワーキング/cip/news/details_02958.html2. 神奈川新聞「女性の健康調査」/cip/news/details_02991.html3. 神奈川県における職場女性の運動促進プログラムの健康への影響/cip/news/details_02922.html4. CIP ウェブサイト(女性の健康プロジェクト)/cip/project/details_01072.html今後に向けて?本プロジェクトがどのような社会実装を目指しているのか 本プロジェクトは、産学医連携による実践的なアクション?リサーチを通じて、女性の健康課題に対する理解を深め、課題解決のための具体的な改善策や提案を発信し、企業主導での健康支援を推進しています。今後は、健康スコアの活用によるエビデンスの蓄積と課題解決型の社会実装、特に、企業内での健康支援の普及を図り、働く女性が抱える健康課題への対応を具体的な政策に結びつけるための教材作成を進めていく予定です。今後の研究成果が社会的実装に結びつくよう、さらに学術的な貢献を続けていきます。謝辞 本研究の全体企画?調査設計を行った三菱地所株式会社様(廣田紋子様、井上友美様、嶋田瑞穂様、山脇一恵様)、株式会社ファムメディコ様(安西智美様、日高優海様、田口元輝様、井上真由美様)、そして本調査にご協力いただいた方々に心からの感謝を申し上げます。 本年度の業績<原著論文>1. Honami Yoshida, Mariko Nishikitani, Masumi Okamoto, Yuko Watanabe, Akio Kurokawa, Mika Hoshina, Mizuki Yazawa, and Nao Ichihara. Career Advancement and Fertility Intention a m o n g W o r k i n g W o m e n i n J a p a n : A Cross-Sectional Survey Study. BMC Women's Health. 2025 (in press). 14
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