CIP ANNUAL REPORT 2024基本情報 この産学医連携プロジェクトは、三菱地所株式会社および株式会社ファムメディコとの連携に基づいて 2020 年より実施されてきたものです(図 1)。働く女性の心身の健康状態を改善するため、健康を決定づける社会的要因、生活習慣、就労状況や人間関係などの背景要因や環境因子の分析を行い、課題解決につなげてきました。2021年度には東京都心部に本社を持つ参画企業 9 社、参加者数 313 名を対象とした横断的な分析を行い、2022 年度は企業内での健康支援に資する「働く女性健康スコア(以 下、健 康スコア)暫 定 版」の 開 発 に向 け、参 画 企 業 14 社、参加者数 3,425 名の調査分析と学術発表を行い、2023 年度は勤務環境や休暇制度等と女性の健康との関連や男性における勤務環境調査も追加し、参画企業 20 社、参加者数 3,907 名のデータを収集しました。2024 年度の調査は参画企業 14 社、参加者数 4,661 名へと継続?拡(Simplified Menopausal Index、簡 略 更 年 期 指 数)にMale? s Symptoms、男性更年期セルフチェック指標)も含め、約 90 項目にわたるデータを収集しました。概要?活動目的 少子高齢化の進行に伴い、15 ? 64 歳の生産年齢人口は今後ますます減少する一方、女性の就業率は増加しており、2021 年 に は 労 働 力 人 口 に 占 める女 性 の 割 合 が44.6%となっています。これにより、女性が働き続けるための支援が重要な政策課題となっています。女性は生涯を通じて女性ホルモンに影響され、各ライフステージで異なる健康管理が求められます。本研究では、働く女性の健康課題を明らかにし、企業が実施できる健康維持?推進の取り組みを後押しすることを目的としています。進□?活動報告(1)調査票設計と企業へのフィードバック内容の監修 上記二社との連携によって自記式質問票を用い、働く女性の健康を支援する職場内制度や働き方に関する調査を行い、企業に対して医学的?産業衛生学的観点からのフィードバックを実施しました。 (2)データ受領と解析の実施 2024 年 10 月に実施された「健康スコア調査」によって、4,661 名のデータを所得し、健康課題やライフスタイル、勤務環境が健康に与える影響について解析しました。解析結果に基づき、女性の健康に関連する要因を明らかにし、2025 年 4 月現在、2 本の原著論文が受理され、4 本の原著論文を投稿中で、6 回の学会発表を行ったところです。(3)産学医ウェルネスワーキンググループ」の実施 2024 年 11 月と12 月、2025 年 3 月に実施したワーキンググループでは、参画企業 14 社の人事担当者とともに、健康支援の課題解決策を探りました。現場での課題に対するアプローチ方法を共有し、産業衛生面における研修や制度周知についてのアイデアを集めました(図 2)。(4)学生インターンシップにおける研究指導 2024 年 度 は、修 士 課 程 の 留 学 生 1 名、大 学 院 生 1 名が本プロジェクトのインターンシップに参加し、調査デザインやデータ分析を学び、論文執筆と投稿、学会発表などの学術報告を行っています。(5)国際女性デーにおける統計学的分析結果の発表 2025 年 3 月 5 日、国際女性デーに合わせ、三菱共同で調査結果から得られた提言を参画企業に向けて発表しました(図 3)。働く女性の健康課題別のケアや、制度利用促進、職場でのヘルスコミュニケーション向上に向けた実践的な解決策を示しました。 図1. 産学医連携模式図※オフィシャルウェブページ:https://shokumaru.jp/wcm/24002/ 13 ( 大 し、女 性 更 年 期 症 状 の 指 標 で あ るSMIス コ ア加 え、男 性 更 年 期 指 標 で あ るAMSス コ ア(Aging 東京都心部における就労女性の健康に係る調査
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